「後手高手小手」の版間の差分
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==概要== | ==概要== | ||
近代的な日本式緊縛術の最も代表的な技法。「'''[[高手小手]]'''」「'''[[後手縛り]]'''」のほか、いろいろな名称で呼ばれる。読み方も「'''ごてたかてこて'''」「'''うしろてたかてこて'''」「'''うしろでたかてこて'''」と複数存在する。 | |||
基本的には、背中側([[後手]])で両手首([[小手]])を拘束し、さらに、乳房の上側、下側に[[胸縄]]を回し二の腕部分([[高手]])を拘束する。[[胸縄]]の脱落を防ぐために、[[閂]]と呼ばれる補助的な縛りが加えられることが多い。細かな手法は緊縛師により大きく異なる。なお、「[[高手]]」を「[[二の腕]]」ではなく「高い位置の手」と解釈し、背中側の高い位置で、両手首をX字で縛る技法を指して[[後手高手小手]]([[高手小手]]) と呼ぶ緊縛師も少なくなく、この場合、手首の位置が通常の縛りを[[後手縛り]]等と呼んで区別している。[[捕縄術]]の多くは、背中側([[後手]])で両手首([[小手]])を拘束し、さらに「首」と「[[高手]]」への拘束を組み合わせているので、広い意味での[[後手高手小手]]に含めるべきである。したがって、広義に解釈するなら、[[後手高手小手]]は必ずしも[[胸縄]]を必要としない。 | 基本的には、背中側([[後手]])で両手首([[小手]])を拘束し、さらに、乳房の上側、下側に[[胸縄]]を回し二の腕部分([[高手]])を拘束する。[[胸縄]]の脱落を防ぐために、[[閂]]と呼ばれる補助的な縛りが加えられることが多い。細かな手法は緊縛師により大きく異なる。なお、「[[高手]]」を「[[二の腕]]」ではなく「高い位置の手」と解釈し、背中側の高い位置で、両手首をX字で縛る技法を指して[[後手高手小手]]([[高手小手]]) と呼ぶ緊縛師も少なくなく、この場合、手首の位置が通常の縛りを[[後手縛り]]等と呼んで区別している。[[捕縄術]]の多くは、背中側([[後手]])で両手首([[小手]])を拘束し、さらに「首」と「[[高手]]」への拘束を組み合わせているので、広い意味での[[後手高手小手]]に含めるべきである。したがって、広義に解釈するなら、[[後手高手小手]]は必ずしも[[胸縄]]を必要としない。 | ||
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==英語表記== | ==英語表記== | ||
Takatekote、[[Box tie]]、[[Chest harness]] | Takatekote、[[Box tie]]、[[Chest harness]] | ||
==解説== | ==解説== | ||
'''[[後手縛り]]'''は両手首を背中側で縛る縛り方を意味し、対義語は'''[[前手縛り]]'''で、両手首を体の前側で縛る縛り方である<ref group="注">日本では、逮捕者に前手状態で手錠をかけるのが特徴で、米国では後手状態で手錠をかける</ref>。'''[[小手]]'''は「手首と肘との間」を意味し、'''[[高手]]'''は「[[二の腕]]」、すなわち上腕部を意味する。したがって、[[後手高手小手]]縛りは、背中側([[後手]])で、両手首([[小手]])と[[二の腕]]([[高手]])を拘束する縛り方である<ref group="注">[[辻村隆]]などの解釈。</ref>。異なった解説として、'''[[高手]]'''を「手を高く持ち上げる」と解釈し、両手首を背中の高い位置で縛る縛り方とするものもある。後者の場合、腕が腰の位置の縛りを'''[[後手縛り]]'''と呼び、腕が背中高い位置での縛りを'''[[高手小手縛り]]'''と呼んで区別している場合もある([[有末剛]]など)。 | 【言葉の分解】'''[[後手縛り]]'''は両手首を背中側で縛る縛り方を意味し、対義語は'''[[前手縛り]]'''で、両手首を体の前側で縛る縛り方である<ref group="注">日本では、逮捕者に前手状態で手錠をかけるのが特徴で、米国では後手状態で手錠をかける</ref>。'''[[小手]]'''は「手首と肘との間」を意味し、'''[[高手]]'''は「[[二の腕]]」、すなわち上腕部を意味する。したがって、[[後手高手小手]]縛りは、背中側([[後手]])で、両手首([[小手]])と[[二の腕]]([[高手]])を拘束する縛り方である<ref group="注">[[辻村隆]]などの解釈。</ref>。異なった解説として、'''[[高手]]'''を「手を高く持ち上げる」と解釈し、両手首を背中の高い位置で縛る縛り方とするものもある。後者の場合、腕が腰の位置の縛りを'''[[後手縛り]]'''と呼び、腕が背中高い位置での縛りを'''[[高手小手縛り]]'''と呼んで区別している場合もある([[有末剛]]など)。 | ||
【用法1】右上図にあるように、背中側('''[[後手]]''')で両手首('''[[小手]]''')を縛り、乳房の上側、および下側に[[胸縄]]をかける。この時、二組の胸縄が「[[二の腕]]」='''[[高手]]'''をおさえることになる。 | |||
【用法2】'''[[高手]]'''を「手を高く持ち上げる」と解釈し、両手首を背中の高い位置で縛る。乳房の上下に[[胸縄]]をかけるのは用法1に同じである。 | |||
【用法3】'''[[後手]]'''状態で'''[[高手]]'''、'''[[小手]]'''の2箇所を拘束する緊縛技法として解釈するなら、[[捕縄術]]で見られる多くの古式緊縛技法が[[後手高手小手]]として分類できる。[[捕縄術]]の場合には胸に縄をかける技法は稀であるので、近代的な[[後手高手小手]]とは大きく異なった型となる。[[捕縄術]]の各流派で[[後手高手小手]]といった名称が使われていたとは思われないが<ref group="注">'''[[後手]]'''、'''[[高手]]'''、'''[[小手]]'''の要素単語は使われていたであろう。</ref>、市井では'''[[高手小手]]'''などの名称が江戸時代から使われていたかもしれない。この場合、近代的な胸に縄をかける縛りであったのか、あくまで背面を中心とした[[捕縄術]]的な'''[[高手小手]]'''であったのかは興味深い点である。 | |||
【縛り手順】[[後手高手小手]]は近代的日本式緊縛術の最も中心となる縛りで、各緊縛師がそれぞれの工夫を凝らして、いろいろな独自の型を開発している。したがって、共通した[[後手高手小手]]の縛り方手順は存在しない。 | |||
==発展型== | ==発展型== |
2012年6月29日 (金) 09:11時点における版
ごてたかてこて(うしろでたかてこて、うしろてたかてこて)
概要
近代的な日本式緊縛術の最も代表的な技法。「高手小手」「後手縛り」のほか、いろいろな名称で呼ばれる。読み方も「ごてたかてこて」「うしろてたかてこて」「うしろでたかてこて」と複数存在する。
基本的には、背中側(後手)で両手首(小手)を拘束し、さらに、乳房の上側、下側に胸縄を回し二の腕部分(高手)を拘束する。胸縄の脱落を防ぐために、閂と呼ばれる補助的な縛りが加えられることが多い。細かな手法は緊縛師により大きく異なる。なお、「高手」を「二の腕」ではなく「高い位置の手」と解釈し、背中側の高い位置で、両手首をX字で縛る技法を指して後手高手小手(高手小手) と呼ぶ緊縛師も少なくなく、この場合、手首の位置が通常の縛りを後手縛り等と呼んで区別している。捕縄術の多くは、背中側(後手)で両手首(小手)を拘束し、さらに「首」と「高手」への拘束を組み合わせているので、広い意味での後手高手小手に含めるべきである。したがって、広義に解釈するなら、後手高手小手は必ずしも胸縄を必要としない。
別名
後手縛り、 高手小手、 後高手小手、 後ろ高手小手、 後高手小手縛り、 後ろ手高手小手、 後小手縛り、 後ろ手縛り、 後手胸縄縛り、 小手高、 高小手 高手小手縛り
英語表記
Takatekote、Box tie、Chest harness
解説
【言葉の分解】後手縛りは両手首を背中側で縛る縛り方を意味し、対義語は前手縛りで、両手首を体の前側で縛る縛り方である[注 1]。小手は「手首と肘との間」を意味し、高手は「二の腕」、すなわち上腕部を意味する。したがって、後手高手小手縛りは、背中側(後手)で、両手首(小手)と二の腕(高手)を拘束する縛り方である[注 2]。異なった解説として、高手を「手を高く持ち上げる」と解釈し、両手首を背中の高い位置で縛る縛り方とするものもある。後者の場合、腕が腰の位置の縛りを後手縛りと呼び、腕が背中高い位置での縛りを高手小手縛りと呼んで区別している場合もある(有末剛など)。
【用法1】右上図にあるように、背中側(後手)で両手首(小手)を縛り、乳房の上側、および下側に胸縄をかける。この時、二組の胸縄が「二の腕」=高手をおさえることになる。
【用法2】高手を「手を高く持ち上げる」と解釈し、両手首を背中の高い位置で縛る。乳房の上下に胸縄をかけるのは用法1に同じである。
【用法3】後手状態で高手、小手の2箇所を拘束する緊縛技法として解釈するなら、捕縄術で見られる多くの古式緊縛技法が後手高手小手として分類できる。捕縄術の場合には胸に縄をかける技法は稀であるので、近代的な後手高手小手とは大きく異なった型となる。捕縄術の各流派で後手高手小手といった名称が使われていたとは思われないが[注 3]、市井では高手小手などの名称が江戸時代から使われていたかもしれない。この場合、近代的な胸に縄をかける縛りであったのか、あくまで背面を中心とした捕縄術的な高手小手であったのかは興味深い点である。
【縛り手順】後手高手小手は近代的日本式緊縛術の最も中心となる縛りで、各緊縛師がそれぞれの工夫を凝らして、いろいろな独自の型を開発している。したがって、共通した後手高手小手の縛り方手順は存在しない。
発展型
後手高手小手をベースに、他の縛りや飾り縄などを加えて、複雑な縛りに発展させることができる。要素単語を組み合わせて、名称も複雑なものとなる。
参考となる文献教材
- 辻村隆・塚本鉄三『後手と高手小手による緊縛美の考察』奇譚クラブ1953年(昭和28年)4月号, グラビア
- 塚本鉄三『緊縛フオト撮影の実際 首縄と後手縛り』奇譚クラブ1962年(昭和37年)4月号, グラビア
- 『黒縄後手高手小手棒責め』奇譚クラブ1964年(昭和39年)2月号, グラビア(モデルは絹川文代)
- 杉原虹児『高手小手』奇譚クラブ1954年(昭和29年)4月号, グラビア
- 塚本鉄三『緊縛フォト撮影の実際:高手小手縛りの一例』奇譚クラブ1961年(昭和36年)9月号, 口絵
参考となる緊縛教材
- ジョー田中『SM教室縛り編』(ARROW, 1982)
- 濡木痴夢男『濡木塾 I :濡木痴夢男新縛り方教室』(アートビデオ, 1988)
- 志摩紫光『SM SEX ビギナー編』(志摩プランニング, 1988)
- 志摩紫光『LET'S PLAY SM 縛りと責めのテクニック1』(志摩プランニング, 1994)
- ダーティ工藤『緊縛術 I 』(Dirty Factory, 2000)
- 濡木痴夢男『秘技伝授 緊縛入門』(ハムレット, 2001)
- 千葉曳三『新・緊縛講座 -初級から中級へー』(耽美会, 不明)(出演:千葉曳三 渡瀬彩花 佐々良淋)
- 宝紅緒『緊縛学入門1』(セビアン, 2001年頃)
- 長池士『SMにおける縛り方の極意1』(インターラボ, 2002)
- 乱田舞『完全緊縛マニュアル 初級編』(バッキービジュアルプランニング, 2002)
- 乱田舞『完全緊縛マニュアル 中級編』(バッキービジュアルプランニング, 2002)
- 長池士『SMにおける縛り方の極意1』(インターラボ, 2002)
- 速水健二『縛・基本』(ショウ・カンパニー, 2003)
- 宝紅緒『紅緒流 縄の手ほどき』(440企画室, 2004頃)
- 志摩紫光『奥義入門(緊縛編)縄とSEX 呉羽』(志摩プランニング, 2004)
- 乱田舞『乱田舞の緊縛マニュアル 初級2』(縛鬼流, 2004)
- 長田一美『M女が語る 女性に好かれる縛り方』(長田ゼミナール, 2004)
- 明智伝鬼 神浦匠『緊縛技形宝典 第壱章』(縛友会, 2005)
- 麻来雅人『緊縛心得・巻之一』(縛りの手帖, 2005)
- 京夜『緊縛本番 上巻』(北斗パートナーズ, 2006)
- 雪村春樹『雪村春樹のプチ縄講座彼女としたい縛り方入門』(大洋図書, 2007)
- 狩野千秋『SM緊縛講座』(日本緊縛美術社, 2007頃?)
- 有末剛『緊縛の心と技2 (床技編1)』(十五や, 2009)
- 麻来雅人『麻来雅人流 上級者のための緊縛術』(三和出版, 2009)(DVD附属)
- 龍崎飛鳥『緊縛解体新書 ACT1』(SM Queen Road, 2010)
- ダーティ工藤『新・緊縛術 1』(Dirty Factory, 2010.3.25)(モデル:宮咲志帆)
- 奈加あきら『責め縄緊縛術-入門編』(ライブクリエイション, 2011)
いろいろな緊縛師の後手高手小手の特徴
後手高手小手のいろいろ参照。
引用文献
注釈
お役たちweb
関連ページ
後手高手小手 後手縛り 両手首縛り 後手直伸縛り 襷縛り 後頭後手縛り 逆海老縛り 胡座縛り 亀甲縛り 股縄縛り M字開脚縛り よく使われる緊縛技法