「カストリ雑誌時代の奇譚クラブ」の版間の差分

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==1952年(昭和27年)==
==1952年(昭和27年)==
===1952年(昭和27年)1月号===
===1952年(昭和27年)2月号===
発行されたかどうか不明。
===1952年(昭和27年)3月号『変態集団特集号』===
===1952年(昭和27年)3月号『変態集団特集号』===
 
===1952年(昭和27年)4月号===
5・6月号に「四月号から・・」とあるので発行された模様。
===[http://nawa-art.com/backnumber/1950/195206_esme/195206_esme.html 1952年(昭和27年)5・6月号『戦爭と性慾特輯号』]===
===[http://nawa-art.com/backnumber/1950/195206_esme/195206_esme.html 1952年(昭和27年)5・6月号『戦爭と性慾特輯号』]===
[[画像:kitanclub1952.jpg|80px|thumbnail|奇譚クラブ1952年(昭和27年)5月・6月合併号]]
[[画像:kitanclub1952.jpg|80px|thumbnail|奇譚クラブ1952年(昭和27年)5月・6月合併号]]

2011年10月21日 (金) 09:12時点における版

きたんくらぶ

概要

奇譚クラブ』は、1947年(昭和22年)10月25日にB5版カストリ雑誌として大坂の曙書房から吉田稔によって創刊された。1年後には須磨利之辻村隆が編集に加わるが、1952年(昭和27年)6月にA5版に変更になるまでの5年間は、基本的にはごく普通のカストリ雑誌や実話雑誌として発行されていた。当初は長谷川伸、長沖一、織田作之助などの有名文筆家、新聞記者時代の高村暢児、高校教師であった高梨久(後に、NHK大阪、ABC放送)、杉山清詩等が寄稿していた[1]。1950年前後から東京の出版社が作家の囲い込みを始め、在阪出版社は執筆者の確保が難しくなったと言われている[2]

発行年・出版社

1947年(昭和22年)10月(11月号)〜1975年(昭和50年)3月。ただしカストリ雑誌時代の奇譚クラブは1947年(昭和22年)11月号〜1952年(昭和27年)4月号、とする。曙書房

発行人・編集人

1947年(昭和22年)11月号〜1951年(昭和26年)11月は吉田稔

1951年(昭和26年)12月〜は箕田京二

1947年(昭和22年)

1947年(昭和22年)創刊号

奇譚クラブ 1947年(昭和22年) 創刊号

特徴:B5版のカストリ雑誌として出版。出版元は曙書房
発行日:1947年(昭和22年)10月25日(11月号)[注 1][注 2]
その他:創刊号のデザインは、グロテスクの1929年(昭和4年)1月号、2月号のデザインを模倣している[3]。また、「奇譚」に「譚」の漢字が間違っており、さらに「Kitan Clab」とミススペルになっている。

1947年(昭和22年)通巻2号『変態奇人号』

発行日:1947年(昭和22年)12月

1948年(昭和23年)

1948年(昭和23年)通巻3号

1948年(昭和23年)通巻4号

1948年(昭和23年)通巻5号

奇譚クラブ1948年(昭和23年)通算第5号

特徴:表紙には「月刊」と。裸体モデル(18の乙女)写真分譲(5枚、50円)の広告。
発行日:1948年(昭和23年)3月20日、通巻第5号
価格:22円
ページ数:中綴じ35ページ
主な記事:保利竜平『ソドミイの壺』(挿絵:南陽二)、杉山清詩『パンパンガール殺人事件』(挿絵:紫荘児)など
絵師:南陽二、紫荘児
その他:「会員通信」が送られる会員募集の公告が。年会費は270円。裏表紙は「Kitan Clab」とミススペルのまま。第二回懸賞詰将棋。

1948年(昭和23年)通巻6号

1948年(昭和23年)通巻7号『新鋭短篇特集號』

奇譚クラブ1948年(昭和23年)通算第7号

特徴:まだ須磨利之の痕跡は見いだせない。
発行日:1948年(昭和23年)5月20日
価格:25円
ページ数:中綴じ35ページ
主な記事:杉山清詩『閨房殺人事件』など。
絵師:
その他:表表紙の裏には「Kitan Club」と正しいスペル。「譚」はあいかわらず間違ったまま。第4回懸賞詰将棋。

1948年(昭和23年)通巻8号

1948年(昭和23年)通巻9号『爽秋讀切傑作號』

奇譚クラブ1948年(昭和23年)通算第9号

特徴:表紙や挿絵に須磨利之登場。辻村隆信土寒郎の名前であちこちにコメントのような文が掲載されている。
発行日:1948年(昭和23年)10月15日
価格:40円
ページ数:中綴じ51ページ
主な記事:邦枝完二『圍い者』(挿絵柴谷宰二郎)、大谷冽『平和荘綺譚第一話 彼女は驚きぬ』(挿絵が須磨利之(TOSHIYUKIとサイン))、杉山清詩『青空晴子探偵シリーズ 鯰に魅入られた男』(挿絵:須磨利之(としゆきとサイン))、住田恭平『嘆きのイヴ』(挿絵:須磨利之)、高村暢児『愛は星の下に』(挿絵:上原正夫)、加茂川清子『口紅女学生行状記 変態痴魔事件』(挿絵:としゆき長谷川伸『善八の財布』(挿絵:笹岡一夫)
絵師:上原正夫、清原康、黒石光、笹岡一夫、岡田利久
その他:編集後記に「姉妹雑誌『譚界』」の来月創刊予告。小売店を募集している。詰将棋続く。

1949年(昭和24年)

1949年(昭和24年)通巻10号『競艶力作特集號』

奇譚クラブ1949年(昭和24年)通算第10号

特徴:表紙は須磨利之(サインはToshiyuki S)。グラビアに須磨利之の三色刷イラスト。
発行日:1949年(昭和24年)1月5日
価格:40円
ページ数:中綴じ53ページ
主な記事:織田作之助 『航路』[注 3](挿絵:清原康)、高村暢児『賣笑婦は泣かず』(挿絵:笹岡武二)、忍頂寺穣『江戸の人気男』(挿絵:としゆき、加茂川清子『口紅女学生行状記 虚飾の街の娘達』(挿絵:としゆき
絵師:司馬湲(絵のサインはSHIBATANI)、笹岡三千雄、笹岡武二、清原康、左脇不二夫、田中比呂志、すまとしゆき、須磨としゆき
その他:

1949年(昭和24年)1月号別冊『世界歡楽街めぐり』

特徴:
発行日:
価格:円
ページ数:中綴じページ
主な記事:
絵師:
その他:

通巻11号『珍談奇聞讀物集』

特徴:表紙は須磨利之(サインはT・S)。裏表紙の裏にはヌード写真。3色カラー口絵がついており、笹岡武二と須磨利之
発行日:1949年(昭和24年)2月25日
価格:45円
ページ数:中綴じ53ページ
主な記事:杉山清詩『馬鹿につける薬』(挿絵:須磨としゆき)、信土寒郎『二十の扉異聞』、加茂川清子「うちかなわんわァ」(挿絵:明石三平)、高村暢児『賣笑婦は泣かず』(挿絵:笹岡武二)
絵師:笹岡武二、佐々岡武二、佐脇ふじ、明石三平
その他:「11号」とも「2月号」とも書いていないが、日付から「通巻11号」としている。

1949年(昭和24年)4月号別冊『第七天國探訪記』

特徴:須磨利之が全面的に製作に関わっている。「魁京二」も須磨利之の変名と思われる。編集・発行は吉田稔
発行日:1949年(昭和24年)4月10日
価格:円
ページ数:中綴じページ
主な記事:瓜生正美「中京美人の横顔』(挿絵は魁京二)、海部『梅田娘の體臭』(挿絵は須磨利之)、杉山清詩『赤外線で頂いた京都』
絵師:魁京二、亀井七郎
その他:

(この間、不明)

1949年(昭和24年)7月号

特徴:表紙は須磨利之(サインはsuma)。裏表紙不明でサインはMiNE
発行日:
巻号:第3巻第7号
価格:50円
ページ数:中綴じ53ページ
口絵:二色刷り。黒岩光『花嫁の日記』を不二木一(ふじきはじめ)の絵。
主な記事:高村暢児『敗戦ドイツの悲劇 女四十八人』(挿絵:柴谷宰二郎)、綾津夜子『女蕩し』(挿絵:三平)、信土寒郎『奇譚百話 都会の溜息』(挿絵:明石三平)
絵師:柴谷宰二郎、園登美、不二木一、赤坂幸太、紺野登志
その他:編集後記に黒岩、住田、小峯の名前。

1949年(昭和24年)9月号

特徴:喜多玲子登場。表紙は須磨利之(サインはSosei)。裏表紙に「ルポ 夜のTOBITA」でヌード写真掲載。撮影は絹川雪夫
発行日:1949年(昭和24年)9月15日
巻号:第3巻第8号
価格:50円
ページ数:中綴じ55ページ
主な記事:高村暢児『ああ引揚に涙あり』(挿絵:柴谷宰二郎)、高村暢児『ルポ 夜のTOBITA』(挿絵:㐂夛玲子、園田光『女への復習』(挿絵:喜多玲子)
絵師:灘みどり、笹岡武二、佐脇ふじ
その他:裏表紙の裏に「五萬圓懸賞」の募集広告。

1949年(昭和24年)10月号

特徴:表紙に「玲」のサイン。
発行日:1949年(昭和24年)10月15日
巻号:
価格:円
ページ数:中綴じページ
主な記事:
絵師:
その他:

1949年(昭和24年)10月号別冊『歡楽街探訪』

1950年(昭和25年)

1950年(昭和25年)9月号(通巻23号)『珍相実話特集』

奇譚クラブ1950年(昭和25年)9月号

特徴:ほとんど須磨利之辻村隆で作っているようだ。ヌード写真が登場している。
発行日:1950年(昭和25年)9月1日
巻号:通巻23号
価格:70円
ページ数:106ページ
写真と絵のコンポジット:『玲子さん海ゆく』(ヌード写真有り)
口絵:二色刷。山東京傳『江戸生艶気椛焼』の絵をどしゆき
主な記事:緑猛比古『将軍暁に死す』(挿絵:どしゆき)、緑猛比古『娘御開帳』(挿絵:須磨どしゆき)、信土寒郎『都会の溜息』(挿絵:三平)、 早乙女晃『未亡人占師』』(挿絵:㐂夛玲子)
絵師:明石三平、森あきら、けんも
その他:

1950年(昭和25年)10月号

特徴:第3種郵便物を取得したのが1950年(昭和25年)10月5日。
発行日:
巻号:
価格:円
ページ数:
主な記事:片屋薫『女学生の私刑』、緑猛比古女侠道中』の挿絵を須磨利之が描いている[4]
絵師:
その他:

1950年(昭和25年)12月号『古今珍談くらべ』

特徴:縛りの挿絵が登場(岡村俊二『裸の踊り子』に。絵は須磨利之と考えて問題ない)
発行日:
巻号:
価格:70円
ページ数:110ページ
主な記事:信土寒郎『都会の溜息』(挿絵:三平)、緑猛比古『愛怨比丘尼屋敷』(挿絵:須磨どしゆき)、杉山清詩『全裸の黒焦死体』(挿絵:㐂夛玲子)
絵師:曾根三太郎、沖研二、秋田冷光
その他:「読者の声」の欄がある。裏表紙には映画『鬼あざみ』(長谷川一夫主演)の広告。

1951 年(昭和26年)

この年の7月頃、辻村隆吉田稔がヌード写真の撮影をおこない、それが奇譚クラブ1952年の1月号に掲載されているとされている[5]

1951年(昭和26年)1月号(通巻26号)『異色愛欲譚』

奇譚クラブ1951年(昭和26年)1月号

特徴:辻村隆」の名前が登場。巻頭に構成・片山研二による「裸女モンタージュ」。二色グラビアでは田辺節夫『暗黒のヴィナス』の須磨としゆきの挿絵。続いて明石三平の長編漫画「内股彫謎刺青』
発行日:
巻号:「第二十六集」
価格:70円
ページ数:110ページ
主な記事:松井籟子『肉体の陰火』(挿絵は須磨としゆき)、信土寒郎『恋の四十八手』(挿絵は明石三平)、、辻村隆『産婦人科医 重利先生行状記』(挿絵は沖研二)、早乙女晃『呪われた紅人魚』(挿絵は箕田京)
絵師:曽根さん太郎、曽根三太郎、田中比呂志、沖研二、天野健、今畿久蔵、山田清薫
その他:

1951年(昭和26年)3月号『軟派小説決定版』

奇譚クラブ1951年(昭和26年)3月号

特徴:大きくエロ路線に舵を切っている。巻頭多色刷りグラビアでは片山薫『責めの狂艶絵巻 遊女葦水の最後』のとしゆきの挿絵。堂々と縛り場面が描かれている。続いて、笠置良夫『泥沼に喘ぐ女』の箕田京二の挿絵。続いて「春へのあこがれ」で美濃村晃構成のヌード写真が4ページにわたり掲載。撮影は二宮哲夫。沖研二構成のヌード写真「扉のかなた」も。
発行日:1951年(昭和26年)3月1日
巻号:
価格:80円
ページ数:110ページ
主な記事:片山薫『責めの狂艶絵巻 遊女葦水の最後』(挿絵はとしゆき)、笠置良夫『泥沼に喘ぐ女』』(挿絵は箕田京二)、辻村隆『産婦人科医 重利先生行状記』(挿絵は沖研二)、直木竜史『哀艶情歌』(挿絵は美濃村晃)、松井籟子『恋責め』(挿絵は㐂夛玲子)
絵師:加住としを、天野健、曾根三太ろ、明石三平、田中比呂志、沖研二、池中味、森あきら
その他:裏表紙にはストリップ劇場の「道劇」の広告。

1951年(昭和26年)5月号『われ女群に包囲さる』

奇譚クラブ1951年(昭和26年)5月号

特徴:巻頭二色刷りイラストに縛りのシーンがある。グラビアページに「構成・美濃村晃、詩・サトウロクロー」で『ヌードは踊る』。ストリップの写真を用いたコラージュ作品。「奇譚新聞」内に「サジズムの婦人求む強力な程良、石臼の如き臀を有する方、マゾヒズム男」と「珍妙案内広告」。挿絵はほぼ須磨利之一人で書いていると思われる。
発行日:1951年(昭和26年)5月1日
巻号:第5巻第5号
価格:90円
ページ数:110ページ
主な記事:信土寒郎『奇譚百話 都會の溜息』(挿絵は明石三平)、高村暢児『わが口髭に悔いありき』(挿絵は曾根三太郎)、松井籟子『裸身の魔女』(挿絵は喜多玲子)
絵師:明石三平、箕田京二、志乃田よしろ、今畿久蔵、峯玄太、松岡敏一、曾根三太郎、森あきら、秋田冷光、沖研二、天野健、美濃村晃喜多玲子、加住としを、竹中英二郎
その他:

1951年(昭和26年)6-11月

発行されたかどうか不明

1951年(昭和26年)12月号『男色天国繁昌記』

奇譚クラブ1951年(昭和26年)12月号

特徴:カラーグラビアに本格的な今畿久蔵縛りの絵。グラビア『人肉市場』で軽い縛りの写真
発行日:
巻号:
価格:円
ページ数:中綴じページ
主な記事:
絵師:
その他:

1952年(昭和27年)

1952年(昭和27年)1月号

1952年(昭和27年)2月号

発行されたかどうか不明。

1952年(昭和27年)3月号『変態集団特集号』

1952年(昭和27年)4月号

5・6月号に「四月号から・・」とあるので発行された模様。

1952年(昭和27年)5・6月号『戦爭と性慾特輯号』

奇譚クラブ1952年(昭和27年)5月・6月合併号

この号よりA5版となる。表紙は6月号となっており、発行日も6月1日でだが、奥付では「第6巻第5号、新綠五・六月合併号」となっている。『處女と蛇』で縛りの写真。

エピソード

引用文献

  1. 美濃村晃縄の交友録第2回 「奇譚クラブ」の初期の人々』 緊美研通信第5号 1990年(平成2年)8月1日
  2. 平岡正明『縄師美濃村晃と結び目の謎』in 「変態的」(ビレッジセンター出版局, 1996)
  3. 懐かしき奇譚クラブ、esme氏情報。
  4. 辻村隆本誌の旧号に現れた責繪奇譚クラブ1953年(昭和28年)9月号, グラビア
  5. 辻村隆『モデル女のまぞひずむ』奇譚クラブ1954年(昭和29年)10月号, p274

注釈

  1. 木本至の『雑誌で読む戦後史』による。秋田昌美もこの日付を用いている。一方、高倉一の『秘密の本棚Ⅰ』の後書きによると、1946年(昭和21年)に不定期刊行物として最初に発行され、1951年(昭和26年)1月号から月刊誌化されたとある。
  2. 北原童夢早乙女宏美『「奇譚クラブ」の人々』(河出書房新社, 2003)には10月号とあるので、さらに1号ふるいものがある可能性も排除できていない。
  3. 織田作之助は既に 1947年に死んでいる。

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