風俗奇譚
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ふうぞくきたん。1960年(昭和35年)から1974年(昭和49年)まで続いたSM雑誌。高倉一の編集。60年代後半からは男性同性愛関係の作品が増加し、薔薇族に続く。
概要
高倉一が1960年(昭和35年)より10数年間発行した、奇譚クラブ、風俗草紙と並ぶ第一世代のSM雑誌。森下高茂が谷貫太の変名で、濡木痴夢男が藤見郁、青山三枝吉の変名で作品を発表している。森下高茂の影響と思われるが、海外のフェチ文化の紹介が多いのも特徴である。中川彩子、古正英生、沖渉二、田上恵子、小田利美、江馬美久などの絵師が作品を発表していた。60年代後半からは男性同性愛関係の作品が増加し、後の薔薇族にもつながっていくことになる。
発行年・出版社
1960年(昭和35年)1月号から1974年(昭和49年)10月号、文献資料刊行会
発行人・編集人
創刊号から休刊号まで高倉一
主な出来事
1960年(昭和35年)1月、高倉一により創刊。
1961年(昭和36年)3月、定価が140円から150円に。
1961年(昭和36年)5月、鞭ち打ち特集。また「本号からヌートリクス社と提携」と編集後記にある。
1961年(昭和36年)9月、「マゾの女王ベティ・ペイジ」としてBettie Page が特集されている。
1974年(昭和49年)10月、10月号で休刊。
別冊
- 『風俗奇譚特別増刊号 緊縛エロスの匂い』(文献資料刊行会, 1973)(カメラ:津田一郎、モデル:笠井澄子。カメラ:鈴木重機、モデル:芦川ユリ。カメラ:石塚盛一、モデル:上原秋子、杉村久美。カメラ:高松俊彦、モデル:美紀節子。カメラ:山本隆一、モデル:原めぐみ。カメラ:津田幸郎、モデル:林マリ子。カメラ:[北川修一]]、モデル:渡辺ユキ。カメラ:坂下功、モデル:中ともみ。)
エピソード
- 濡木痴夢男は「(日正堂は)神保町のすずらん通りの裏側にあった」「夏目漱石、芥川龍之介、森鴎外などの版権が切れた時で、日正堂はそれらを廉価本で出し、儲けていた」「それでSM雑誌にも目をつけ、『風俗奇譚』を創刊したわけです」と述懐している[1]。
- 『SMファンタジア』と改称して1年足らず存続。
- 『画報風俗奇譚』が1960年(昭和35年)−1961年(昭和36年)に発行されている。
- 他にも「風俗奇譚 増刊」「画報風俗奇譚 増刊」「 画報風俗奇譚 秘蔵版」「秘蔵版風俗画報」 が存在。
- 1970年頃に『風俗奇譚・緊縛フォト集』が何シリーズか発行。
- 60年代後期から、次第に同性愛関係にシフト。
- 初期には濡木痴夢男が青山三枝吉の変名でいくつか小説を書いている。
- 主なモデルに島崎ユカ、島村ひとみ、西牧えり子、青山桂子、新倉節子、高月まゆみ、村上ユキ、魔里カオル、桜川ゆり子、日暮圭子、舟木喜代子
- 後期は販売元:日正堂と記されている。
- 「風俗奇譚」に執筆していた藤田竜、間宮浩らは伊藤文學による『薔薇族』の創刊に関与している。
脚注
お役たちweb
- ↑ 飯田豊一『『奇譚クラブ』から『裏窓』へ』(論創社, 2013)