「テンプレート:女天下」の版間の差分
編集の要約なし |
|||
12行目: | 12行目: | ||
==エピソード== | ==エピソード== | ||
*[[Weiberherrschaft]]の'''Weiber'''は古ドイツ語で「女性」または「妻」を意味(現在の「Frauen」相当)、'''Herrschaft'''は「支配」や「統治」という意味。これはさらに、古代ゲルマン語の'''hērra'''=支配者と古高ドイツ語の'''scaft'''=状態、条件と分解できる。これらを合わせた[[Weiberherrschaft]]は「女性の支配」または「女性による統治」という意味となる。 | *[[Weiberherrschaft]]の'''Weiber'''は古ドイツ語で「女性」または「妻」を意味(現在の「Frauen」相当)、'''Herrschaft'''は「支配」や「統治」という意味。これはさらに、古代ゲルマン語の'''hērra'''=支配者と古高ドイツ語の'''scaft'''=状態、条件と分解できる。これらを合わせた[[Weiberherrschaft]]は「女性の支配」または「女性による統治」という意味となる。 | ||
===[[Eduard Fuchs|フックス]] | ===[[Eduard Fuchs|フックス]]と[[Alfred Kind|キンド]]の『'''[[女天下]]'''』=== | ||
*1913年(大正2年)に、ドイツの文化史家・美術収集家の[[Eduard Fuchs]]が、文献資料的な "'''Die [[Weiberherrschaft]] in der Geschichte der Menschheit''' ( | *1913年(大正2年)に、ドイツの文化史家・美術収集家の[[Eduard Fuchs]]が、文献資料的な 『"'''Die [[Weiberherrschaft]] in der Geschichte der Menschheit''' (人類史における[[女性の支配]])" 』全二巻を出版している。 | ||
*上記の『"'''Die [[Weiberherrschaft]] in der Geschichte der Menschheit''' (人類史における[[女性の支配]])" 』の主に第1巻を邦訳したのが、1926年(大正15年)に[[村山知義]]が[[国際文献刊行会]]から『'''[[世界奇書異聞類聚]]'''』の第十一巻として発刊した『'''[[女天下]](世界奇書異聞類聚十一巻)'''』である。内扉には『[[Eduard Fuchs|フックス]] [[Alfred Kind|キンド]] 共著』とあり、緒言に「伯林(ベルリン)の或るきたない猶太人(ユダヤ人)の古本屋の棚で私は二冊揃ひのよごれた緑色の大型の本をみつけた。」「著者はと見れば既に私にもお馴染みの[[Eduard Fuchs|エドアル・フックス]]が[[Alfred Kind|アルフレッド・キンド]]との共著である。」とある(括弧内は[[U]]が追加)。1913年(大正2年)の『"'''Die [[Weiberherrschaft]] in der Geschichte der Menschheit''' (人類史における[[女性の支配]])" 』の二冊本の時点で、すでに[[Eduard Fuchs|フックス]]と[[Alfred Kind|キンド]]の共著だったのかもしれない。 | |||
*1913年(大正2年)版『"'''Die [[Weiberherrschaft]] in der Geschichte der Menschheit''' (人類史における[[女性の支配]])" 』にさらに二巻を加えて全四巻としたのが、1930年(昭和5年)の [[Alfred Kind]] & [[Eduard Fuchs]]"'''Die [[Weiberherrschaft]] - Verlag für Kulturforschung''' (女性の支配。文化研究出版)" となる。 | |||
*[[沼正三]]は1930年(昭和5年)の [[Alfred Kind]] & [[Eduard Fuchs]]"'''Die [[Weiberherrschaft]] - Verlag für Kulturforschung''' (女性の支配。文化研究出版)"の第四巻を読むために[[森下高茂]]の自宅を訪問していた<ref name="#Naitou">[[内藤三津子]]『'''[https://amzn.to/2ZPUa7z 薔薇十字社とその軌跡]'''』([[論創社]], 2013.3)</ref>。 | *[[沼正三]]は1930年(昭和5年)の [[Alfred Kind]] & [[Eduard Fuchs]]"'''Die [[Weiberherrschaft]] - Verlag für Kulturforschung''' (女性の支配。文化研究出版)"の第四巻を読むために[[森下高茂]]の自宅を訪問していた<ref name="#Naitou">[[内藤三津子]]『'''[https://amzn.to/2ZPUa7z 薔薇十字社とその軌跡]'''』([[論創社]], 2013.3)</ref>。 | ||
<gallery> | <gallery> |
2023年12月18日 (月) 12:57時点における版
概要
女性の上位、女天下の状態を意味する言葉。ドイツ語のWeiberherrschaftに相当。歴史・文化史的に使われる場合に加え、フェティッシュな作品や研究のタイトルに使われる場合も多い。
別名
女天下(おんなでんか) 女性支配 Weiberherrschaft Female dominance Matriarchy
略歴
エピソード
- WeiberherrschaftのWeiberは古ドイツ語で「女性」または「妻」を意味(現在の「Frauen」相当)、Herrschaftは「支配」や「統治」という意味。これはさらに、古代ゲルマン語のhērra=支配者と古高ドイツ語のscaft=状態、条件と分解できる。これらを合わせたWeiberherrschaftは「女性の支配」または「女性による統治」という意味となる。
フックスとキンドの『女天下』
- 1913年(大正2年)に、ドイツの文化史家・美術収集家のEduard Fuchsが、文献資料的な 『"Die Weiberherrschaft in der Geschichte der Menschheit (人類史における女性の支配)" 』全二巻を出版している。
- 上記の『"Die Weiberherrschaft in der Geschichte der Menschheit (人類史における女性の支配)" 』の主に第1巻を邦訳したのが、1926年(大正15年)に村山知義が国際文献刊行会から『世界奇書異聞類聚』の第十一巻として発刊した『女天下(世界奇書異聞類聚十一巻)』である。内扉には『フックス キンド 共著』とあり、緒言に「伯林(ベルリン)の或るきたない猶太人(ユダヤ人)の古本屋の棚で私は二冊揃ひのよごれた緑色の大型の本をみつけた。」「著者はと見れば既に私にもお馴染みのエドアル・フックスがアルフレッド・キンドとの共著である。」とある(括弧内はUが追加)。1913年(大正2年)の『"Die Weiberherrschaft in der Geschichte der Menschheit (人類史における女性の支配)" 』の二冊本の時点で、すでにフックスとキンドの共著だったのかもしれない。
- 1913年(大正2年)版『"Die Weiberherrschaft in der Geschichte der Menschheit (人類史における女性の支配)" 』にさらに二巻を加えて全四巻としたのが、1930年(昭和5年)の Alfred Kind & Eduard Fuchs"Die Weiberherrschaft - Verlag für Kulturforschung (女性の支配。文化研究出版)" となる。
- 沼正三は1930年(昭和5年)の Alfred Kind & Eduard Fuchs"Die Weiberherrschaft - Verlag für Kulturforschung (女性の支配。文化研究出版)"の第四巻を読むために森下高茂の自宅を訪問していた[1]。
-
Eduard Fuchs "Die Weiberherrschaft in der Geschichte der Menschheit (人類史における女性の支配)" (1913)
-
Eduard Fuchs "Die Weiberherrschaft in der Geschichte der Menschheit" (1913)より
-
Eduard Fuchs "Die Weiberherrschaft in der Geschichte der Menschheit" (1913)より
-
Alfred Kind & Eduard Fuchs"Die Weiberherrschaft - Verlag für Kulturforschung (女性の支配。文化研究出版)" (1930)
-
Alfred Kind & Eduard Fuchs"Die Weiberherrschaft - Verlag für Kulturforschung" (1930)より
奇譚クラブの『女天下時代画集』
- 奇譚クラブ1952年(昭和27年)7月号の特集
- 濡木痴夢男は「八点の画は、署名はないがすべて須磨の描いたものである。」「2ページロ下段の「三人の女に叩かれる老人」は、 1610年のヴィッシャーの銅版画と解説文にあるが、実は須磨がそれらしく模写したものである。」と書いている[2]
-
奇譚クラブ1952年(昭和27年)7月号の表紙
代表作
- Julian Robinson "Weiberherrschaft - Die seelischen und körperlichen Erlebnisse des Julian Robinson (女性の支配 - ジュリアン・ロビンソンの精神的および身体的体験)"
- Eduard Fuchs "Die Weiberherrschaft in der Geschichte der Menschheit (人類史における女性の支配)" (1913)
- Eduard Fuchs & Alfred Kind (村山知義・訳)『女天下(世界奇書異聞類聚十一巻)』(国際文献刊行会, 1926)
- Alfred Kind & Eduard Fuchs"Die Weiberherrschaft - Verlag für Kulturforschung (女性の支配。文化研究出版)" , Vienna , 1930 . 31
- [注 1]
メモ
https://archive.org/details/bub_gb_AigyAQAAMAAJ/page/n21/mode/2up
The title translates as ‘The Rule of Women’. There are four volumes in total. The first two volumes are a reprint of the 1913 edition, while the other two are supplementary and new to this edition.
引用文献
- ↑ 内藤三津子『薔薇十字社とその軌跡』(論創社, 2013.3)
- ↑ 濡木痴夢男『「奇譚クラブ」の絵師たち』(河出書房新社, 2004)
注釈
- ↑ この作品の挿絵のいくつかはAlfred Kind & Eduard Fuchs"'Die Weiberherrschaft - Verlag für Kulturforschung"から