ローマSM事故

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ローマSM事故 事故現場

概要

2011年(平成23年)9月10日未明にイタリア・ローマの郊外ブファロッタ(Bufalotta)において女学生Paola CaputoさんがSMプレイ中に誤って死亡した。この記事は『日本式Shibariセックスゲームで学生が死亡』と発信されまたたくまに世界中に広まった。事故はおそらく、飲酒状態での無謀な「窒息プレイ」が招いたものと思われる(→その後、2012年(平成24年)1月21日に放映された特集番組では「窒息プレイ」はおこなわれていなかったとされている)。「Shibari」「Kinbaku」にネガティブなイメージを関連づけられると、欧米のKinbaku愛好家に衝撃が走った事件となった。

事件の背景

2011年(平成23年)はイタリアではちょっとしたShibariブームだった模様である。事件の起こったまさにその日にも、日本のShibari文化を紹介するイタリア語の記事が出ている。9月14日にはミラノで緊縛のイベントも予定されていた。このような中で起こった事件であったために、「Shibari」がクローズアップされたものと考えられる。

事件の概要

容疑者のエンジニアであるM(42歳)は、2011年(平成23年)9月9日の午後2時にFacebookを通じて被害者であるCaputoさん(24歳)、Federica(23歳)さんを遊びに誘う。この3人はそれぞれ以前からSMプレイを楽しんでいた仲だったようだ。午後7時からローマの愛好者の間では有名なクラブで遊び、その後、アーティストのサークルに移動(容疑者のMは写真家としても活動)。

このクラブとサークルで3人はビールとラム酒、消化剤と、そして、女性のどちらかがもっていたハシシを摂取。どの程度摂取したのかは不明。

2011年(平成23年)9月10日未明、サークルを後にした3人はブファロッタ(Bufalotta)に移動し、Caputoさんがバイトをしていた地下駐車場のボイラー室ででShibariプレイを開始する。

MはまずFedericaさんを着衣緊縛する。Federicaさんを縛ったロープを高い位置を走るボイラー管にかけて、反対側の縄で、次にCaputoさんを立った姿勢で縛る。

細かい結び目がたくさん形成されていたとの報道[1]なので、相応の緊縛をほどこしていたものと考えられる。

縛り終えてすぐにCaputoさんの調子が悪くなり、意識を失う。体重がロープにかかり、2人の首が絞まりだす。

2人を縛り終えた後にさらにM自身も連縛しようとし、ここでMが一時失神したとするする書き込みもある[2]

MはまずFedericaさんのバッグにあったはずの縄を切断するナイフを探すが、みつからず、次に自分の車に取りに行く。戻ってきた時には危機的な状態だったために、救急車を呼ぶ。

Caputoさんは死亡、Federicaさんは昏睡状態で病院に収容。

Mは現場で過失致死で逮捕。その後、殺人罪で告発[1]されるが、殺意はなしと、拘留を解かれ自宅に戻される。

Mの緊縛習熟度

MはイタリアのSMコミュニティーでは一定の認知度をもっていたようだが、どの程度の技術をもっていたかは不明[注 1]

Mは『BDSM Italia』のメンバー。『BDSM Italia』代表のStefano Laforgia氏[注 2]は9月15日、FetLifeに”How to react to a tragedy?”と題したスレッドを立てている。「アクティブメンバー達が死亡事故を起こした時にどう対処すべきか悩んでいる」といった内容である。

MはFacebookやFetLifeのkinbaku関係のグループに参加している。これらのサイトでのMの書き込みはそれほど多くなく、Mの技術を推し量ることは難しい。

当初「『緊縛のプロ』と自称していたが、取り調べが進むにつれ緊縛は素人で、首になわをかける縛りは事件当日に初めておこなったと証言しだしたとする報道がある[2]

Mのブログなどの写真作品には緊縛作品がないために、習熟度を推量することは不可能。

「最近ローマの緊縛スクールも行っている」という情報があるが、これはむしろ初心者である可能性を支持する。

事故に備えて切断用のナイフを(車の中にではあるが)を準備していたとすればある程度の知識があったものと推察できる。

事件の報道の概要

2011年(平成23年)9月10日、イタリア発のニュースとして発信。「日本式「Shibari」によるセックスゲームにより少女二人が死傷」といった内容で「Shibari」の名前が全面になり報道された。

2011年(平成23年)9月12日、各国が報道。英語、ドイツ語、中国語などでの関連記事が確認できる。

2011年(平成23年)9月12日、イタリアからの続報でやや詳細な報道が。当初、緊縛の熟練者と報道されたが、実は容疑者は緊縛に関しては初心者との報道。

2012年(平成24年)1月21日、イタリアの公共TV局Radio Audizioni Italianeが1時間余の*特集番組を放送。事件の加害者自身へのインタビューも含まれた内容。ここで放映された情報は客観性が比較的高いものと思われる。それによると、プレイには吊り(縄は二人の女性の水平方向にしかかけておらず、パイプなどを利用して吊った事実はない)や窒息責めは含まれていなかったものの、首の周りに縄をかけ、また事故時のためのナイフを身近においていなかったことは事実。二人の女性からは無視できる量のアルコールと大麻しか検出されなかった。女性の一人は体重120kgであった。

Shibariコミュニティーへの衝撃

  • イタリアではShibariが人気を集め出してきたところであったために、イタリアのSMコミュニティーは「事件は窒息プレイによる悲惨な事故であり、Shibariとは全く関係がない」と事件をShibariと切り離そうと動いた。
  • 欧米のKinbaku、Shibariコミュニティーでもこれを機にKinbakuプレイのリスクを再認識しようとの動き[注 3]
  • Master "K"がこの事件に関してFetLifeにコメントを発表。「彼がおこなっていたのはKinbakuとは全く異なるもの」と強調。

関連リンク

イタリアでの報道

各国での報道

引用文献

注釈

  1. イタリアSMコミュニティーの関係者は“That guy was known from some people in the community“と証言。
  2. Stefano Laforgia氏のFetLifeのProfileに基づく。
  3. 例えばFetLifeの「Shibari」グループでは、"How to assess correctly the risks while doing bondage?"といったディスカッションスレッドが事件後に立てられ、多くの書き込みが上げられている。一部のプレイヤーは、独自に緊縛における注意を発信している(例えば、Rida女史のRope Bottom Safety Decalogueなど)。

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