肉体の門

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戦後まもなく話題となった田村泰次郎の小説。戦後有楽町のパンパン(売春婦)[注 1]の生活を描いた作品だが、その中の半裸リンチシーンが戦後SMファンの心に残っている。

原作小説

1947年(昭和22年)3月、田村泰次郎[注 2]が雑誌「群像」に発表。

あらすじ

第二次世界大戦直後、東京の焼けビルの地下室で集団生活をしている娼婦の物語。「客に恋をしない」という掟を破るボルネオ・マヤの物語。

舞台

1947年(昭和22年)8月1日-15日に帝都座五階劇場にて「空気座」[注 3]により公演。仕掛け人は秦豊吉。脚本は小沢不二夫、演出は小崎政房[注 4]。1000ステージ、50万人程の観客を動員した。三條ひろみが扮した主人公の娼婦ボルネオ・マヤが受けるリンチシーンがSMファンを含む多くの人々の心を奪う。8月12日には観客が飛び降り自殺する事件も起こる[1]


1947年(昭和22年)12月、『肉体の門』空気座北陸公演。

1948年(昭和23年)2月、『肉体の門』空気座九州初公演。

1949年(昭和23年)1月、『続肉体の門』空気座日劇小劇場公演。

1949年(昭和23年)3月、『続肉体の門』空気座九州公演。

映画

1948年版

マキノ雅弘監督。

空気座の演出をした小崎政房が製作。脚本も同じく小沢不二夫。俳優では田崎潤(=田中実)、春名薫、花村陽子、成瀬昌彦も空気座から。

1964年版

鈴木清順監督。

1977年版

西村昭五郎監督、にっかつロマンポルノ。

1988年版

五社英雄監督。出演はかたせ梨乃、名取裕子、山咲千里、松居一代。

TV

2008年(平成20年)、TV朝日。観月ありさ。

参考資料

  1. 『特集:ヴィーナスの誕生』季刊『the 座』第22号(こまつ座, 1992)

注釈

  1. 15万人いたと言われている。
  2. 1911年(明治44年)-1983年(昭和58年)。三重県生まれで早稲田大学文学部卒。兵士として中国で敗戦を迎える。「肉体文学」作家として当時大人気。他に『肉体の悪魔』(1946)など。1967年に脳血栓で倒れてからほとんど活動していない。
  3. 1946年(昭和21年)、小崎政房を座長として結成。第1回公演は1946年10月。1949年3月には日劇小劇場で『獄門島』。1949年(昭和24年)には解散。主な団員は左卜全、田崎潤(=田中実)、春名薫、花村陽子、成瀬昌彦。
  4. 戦前、ムーランルージュ新宿座の脚本家として活動すると共に、大都映画では松山宗三郎の芸名で俳優として活躍。映画監督作品もある。

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